西洋占星術における占星術師とご相談者様との共有とは何か
Index
1.西洋占星術における占星術師とクライアントの「対話」
2.ホロスコープを「共有」のツールとして活用する
3.占星術師とご相談者様、そしてホロスコープによる「三者共演」

1.西洋占星術における占星術師とクライアントの「対話」
私が西洋占星術のセッションを行う上で、最も大切にしていることがあります。それは、クライアント様との「共有」です。
占星術と聞くと、占星術師が一方的にクライアント様の運勢を読み解き、伝えるというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私はこの一方通行の関係性では、本当に意味のあるセッションは生まれないと考えています。
では、「共有」とは具体的に何を指すのでしょうか?
それは、クライアント様のお悩みの本質や、その解決に向けた道筋について、占星術師とクライアント様が同じ目線で理解し、共に考えることです。

心理カウンセリングでは、カウンセラーとご相談者様が対話を重ねることで、お悩みの認識や解決へのアプローチを少しずつ共有していきます。この関係性こそが、私にとっての理想です。
しかし、西洋占星術は専門知識を必要とするため、どうしても占星術師のほうが優位な立場になりがちです。
占星術の知識がないクライアント様は、占星術師の言葉をただ聞くだけ、鵜呑みにするしかないという状況に陥りやすいのです。
これでは、本当の意味での「共有」は生まれません。

2.ホロスコープを「共有」のツールとして活用する
そこで、私が大切にしているのが、セッションの中心にホロスコープ(出生図)を中心に置くことです。
西洋占星術は、クライアント様が生まれた瞬間の天体の配置を記したホロスコープを読み解き、お悩みの答えや解決策を探っていくものです。
ホロスコープは、ご相談者様一人ひとりの「人生の地図」であり、星の配置、星座、惑星、アスペクト(天体同士が作る角度)など、多くの情報が詰まっています。
一般的なセッションでは、占星術師がホロスコープを解読し、その結果だけをクライアント様に伝えます。

しかし、これではクライアント様は、「なぜその答えに至ったのか」という根拠を理解することができません。
占星術師が特別な能力を使って読み解いているように感じてしまい、「自分には理解できない世界」として距離が生まれてしまうのです。
私が目指すのは、「占星術師だけが知っている世界」をなくすことです。
クライアント様にホロスコープを実際に見ていただき、どの星が、どの星座にあり、それがどのような意味を持つのかを、専門用語を避けながら、一つひとつ丁寧に説明します。
そして、今抱えているお悩みが、ホロスコープ上のどの星の配置と関連しているのかを指し示します。

3.占星術師とご相談者様、そしてホロスコープによる「三者共演」
たとえば、「なぜ私はいつも人間関係でつまずくのだろう」というお悩みがあるとします。
ホロスコープには、その方のコミュニケーションの傾向や対人関係のあり方を示す星の配置が記されています。
これを一緒に見ながら、「この星が、あなたのコミュニケーションスタイルに影響を与えているかもしれません」といった形で解説していきます。
そうすることで、ご相談者様は「自分はこういう星の傾向を持っているから、人間関係でこのようなパターンを繰り返しているのか」と、ご自身の性質を客観的に理解できるようになります。
そして、その上で「この配置を活かすには、このようなアプローチを試してみるのはいかがでしょうか」と、具体的な解決策を提案します。
占星術師の一方的な助言ではなく、ご相談者様ご自身がご自身のホロスコープを理解した上で、納得して解決策を選んでいただく。

これが、本当の「共有」です。
幸いなことに、西洋占星術は「星座」や「惑星」といった、多くの方にとって馴染みのある言葉を使います。
この親しみやすさが、ホロスコープへの興味を生み、共有を深める大きな手助けとなります。
私は、西洋占星術師とクライアント様、そしてホロスコープという「三者」が協力し、共に未来を創造していくセッションを目指しています。
この「共有」のプロセスこそが、占星術を単なる占いではなく、ご自身の人生を深く見つめ、より良い未来を築くための羅針盤へと変えていくのだと信じています。